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コーヒー焙煎用100均鍋改造 [日常]

コーヒーの手鍋焙煎は、毎回エクセルに記録しており、もう350回を超えた。あっちを変えたりこっちを変えたりと、いろいろ試したおかげで、ほぼ失敗焙煎はしなくなった。一方、毎回真剣に味見するので、だんだんコーヒーの味がわかるようになってきた。で、市販のコーヒーと比べると、どうも今一つおいしくない。コーヒーの教本によれば、おいしいコーヒーというのは無くて、好みのコーヒーかどうかという世界らしいが、やはり香りが足りず、味もしつこい。こうなったら、市販の焙煎機を買おうかなあなどと、いろいろな機種を見ていて気が付いた。結局、1㎏以下の小型の焙煎機は、おもちゃを少し超える領域の製品になると、大体つぼ型のおかまになる。熱風型か、直火型かで側面の穴が変わるが、上の方は絞られて、真ん中が数センチの穴になっている。大型になるとそこに強制排気のファンが装着され、風量を絞るダンパーが付くことになるが、小型では開放されたままだ。
一方、手鍋焙煎では、鍋にガラスの蓋が乗っており、基本的に密閉されている。まあ、隙間はたくさんあるので、きちんと密閉はされていないが。問題はガラスの蓋の重さで、これが重いため熱容量が大きく、なかなか温度が上がらない。そのため、豆から蒸発した水分が蓋で結露し、水滴がなかなか無くならない。そのため、鍋の中の水分が抜けにくい構造だ。市販の焙煎機の上部が解放されているのと大きく異なる。これが、メイラードフェーズでの水分量が多くなり、しつこい味になる原因ではないかと考えた。それ自体はまあ良いような気もするのだが、その分香りが立たないのが問題となる。その辺の反応の詳細は良くわからないが、そんな感じだと思うのだ。
というわけで、高価な焙煎機を買う前に、鍋の蓋の真ん中に穴を開けて、市販の焙煎機のおかまと似た構造にして試してみたいと考えた。ガラスに穴を開けるのはなかなか困難なので、金属製の蓋を使うことになる。で、金属製の蓋にすると、中が見えないという最大の問題が生じる。中が見えなくても、ちゃんと焙煎できるスキルが必要になるというわけだ。あとは、どうやってつぼ型の構造にするかだが、まあ蓋の真ん中に穴を開けて、それが固定できれば良いわけだ。穴を開けるのは簡単だが、固定が面倒だ。焙煎終了時にはすみやかに開いて中身を出さないといけないからだ。で、いろいろ考えて、結局ステンレスの針金でおさえることにした。
以上の様に、2日ほどいろいろ悩んで完成したのが、下の鍋。
100yen-nabe.jpg

出来上がってしまえば、単純な構造で、ただ蓋に穴を開けただけのものだ。ちゃんと機能しなくても後悔しないように、ダイソーの100円鍋を使った。ペナペナの極薄アルマイト鍋で、豆を入れないとひっくり返りそうなほど軽いが、こんな鍋でもギリ使える。針金を手で握ってフタを押さえつけているので、振っても蓋は全くずれない。蓋を開ければ中を見ることができるが、温度の均一性を狙うなら、開けない方が好ましい。あとは、匂いとハゼ音などで、内部の状態を想像して焙煎する。1ハゼでフタを開けることはしない。火加減の調整だけだ。
で、結果がなかなか良かった。コロンビア・スプレモとエチオピアのシダモを焼いてみたが、ガラスの蓋の鍋よりもずっと好ましい味と香りになった。1ハゼでフタを開けるよりも、コンロは汚れない。掃除は超楽である。

2022/5/17 追記
100均鍋で良い結果が出たので、気をよくしてホームセンターで2000円のアルマイト鍋を買ってきた。アルミが1.2mmと厚くなり、高級感が出た。その分熱容量が上がってしまうが、温度の均一性も良くなるので、良かろうと思うのだ。で、似たような穴を開け焙煎してみると、意外にも百均鍋の方が良かったような気もするのだが、フタの安定性が高級鍋の方がずっと良いので、今後は2000円の高級鍋(なんと国産品)で焙煎する事にした。この鍋で、これまで何種類か焙煎したが、1回も失敗が無い。非常に具合良く焙煎できる。中が見えないのはストレスなのだが、気にしなければ実は大きな問題では無い。匂いは常時確認できるので、焙煎具合は良くわかる。
この鍋で焙煎してみて、いろいろわかった事がある。

1.水抜きはやっぱり大事だね
穴あきフタのアルマイト鍋では、常時フタの穴から蒸気が抜けるので、水抜きが良い具合に進行する様で、これが失敗しない焙煎の最大要因の様だ。水抜き行程はいらないなどと言っていたような気がするが、やはり重要だ。

2.芯焦げは水分残留が原因
サントスNo.2をダイソー鍋で焙煎していたとき、芯焦げを頻繁に経験したが、どうもあの現象は1ハゼの際に豆の内部に水が残っているために生じるらしい。高温の蒸気が噴き出す際に、豆の割れ目が焦げるらしく、芯焦げの豆にはこの黒くなった痕が明確に現れる。また、その高温状態に水が残っているために、クレオソートが生成され、正露丸のような珈琲になってしまうと思われる。穴あきアルマイト鍋では、いい加減に焙煎しても芯焦げの嫌なにおいが出ることは無かった。ただ、サントスNo.2はやはりおいしく無いと感じられた。それ以外のほぼすべての豆がおいしいと思えるのに、この豆だけはだめだ。相性が悪いようなので、もう買わない。ブラジルの豆でも、他の銘柄は悪くない。

3.予熱の効果も想像できた
一般の焙煎機で焙煎する場合、まず予熱を行ってから焙煎するという。単に2回目以降と条件をそろえるためだけかと思っていたが、どうも違う気がする。お釜が十分に暖まっていないと、水が抜けにくいのではないだろうか。お釜の上部が冷えていると、そこに結露して水が抜けにくくなると思われる。ガラス蓋の手鍋焙煎でも、2回目の方がかなり良い感じに焙煎できる。鍋や蓋全体が暖まっていると、水が抜けやすいのだと思われる。

4.鍋が変わると色が変わる
穴あきアルマイト鍋焙煎になって、焙煎後の豆の色が薄くなったと思う。同じ豆、同じCityでも色が薄い。あくまで豆の表面の色で、内部の色がどうなっているかはわからない。焙煎度は、本来は1ハゼや2ハゼと関係なく、豆の色で決定するものらしいので、そういう意味では全体に浅煎りになった感じだ。ネットの珈琲店のブログを見ていても、Cityローストを浅煎りというお店もあるし、やや深煎りというお店もある。実際、豆の写真を見ると、色が違う。同じように2ハゼまで行っていても、色が違うようだ。おそらく、焙煎機が違えば焼け方が違うという事なのだろう。鍋の大きさはあまり変化無く、火加減も大して違わず、豆の量は0.1g単位で同一なので、蓋の材質と形状で焙煎の様子が大きく変わるということなのだろう。

5.私以外にはわからない
個人的には、鍋を変えて、できる珈琲の味はそりゃあもう大きく変わったと思うのだが、同じ珈琲を飲んでいる妻はその変化に無頓着というか、変化に気がつかない様だ。珈琲の風味の気に入らない部分をどうやったら改善できるか調べて、考えて焙煎して、そこが良くなったり悪くなったりを繰り返していると、味の変化に非常に敏感になっていて、でも、何を飲んでも「いや、ふつーにおいしいよ」レベルの人にとってはどうでも良い話だったりするわけだ。知らないうちに、のめり込んだなあと実感する。

6.ケニアの味を知る
かつて、一度もおいしく焙煎できなかった豆の一つがケニアの豆だ。超酸っぱかったりした。今回穴あきアルマイト鍋でCityで焼いたら、非常においしいコーヒーになった。モカに似た香りがすることもわかった。もう、1年以上ほったらかしにしていた高級豆だったのだが、新鮮な内にちゃんと焼けてたら、もっとおいしかったんだろうと、反省。


2022/5/22 追記 アルマイト鍋の勧め
昨日、筑波山で燃え尽きたので、今日はコーヒーの話だ。
穴あきフタのアルマイト鍋での焙煎もかなりの数をこなしてきたので、大体様子がわかって来た。結論として、これはおすすめである。焙煎機には、直火式と熱風式があるようだが、違いはおかまに穴があるかどうかで、穴がある方が直火式で炎が直に加熱する。熱風式は穴が無く、炎からの熱風と熱伝導で加熱するとの事だ。で、直火式の方が焙煎が難しいらしい。まあ、熱源が高温なので、そうだろう。が、極めればおいしく焙煎できるとか。熱風式は炎が直接当たらない分、比較的焙煎が簡単らしい。で、直火式は炎で直接加熱する手網焙煎に対応しそうだ。私は手網で焙煎するのは難しすぎてあきらめたが、手網で焙煎している人も多い様だ。一方、手鍋焙煎は穴が無いので、直接炎の熱は当たらず、どちらかと言えば熱風式に近いが、熱風も入って来ないので、熱伝導だけで加熱する方式になる。加熱が安定するので、手網よりもずっと簡単に焙煎できそうだが、風味は技を極めた手網焙煎には勝てないのだろうと思う。
さて、我が家のコンロは当然温度センサーが付いていて、250℃で火力を落とす様に反応するが、これは焙煎を始めて3分~5分程度で働いている。中華料理対応コンロなので、強火力モードに設定しておけば、センサーが働いても火力は復活するが、焙煎を始めて早々に鍋が250℃に達している事がわかる。焙煎機のおかまの温度は普通そんなに高く無いので、焙煎機よりもかなり高いおかま温度で焙煎していることになる。これは、熱伝導だけで加熱するシステムで、熱風も直火も当たらないので、より高温のおかまが必要になるわけだ。このせいで、焙煎後半の火加減をかなり落とさないと、豆が焦げてしまう。1ハゼ以降は豆の自家発熱があるため、火加減は落としても焙煎が進むが、落とし過ぎると時間がかかり、風味が抜けてしまう(ベイクト)。上げ過ぎると、高温で焦げて油がにじんでしまう。で、家庭用のコンロは、火加減をそんなに微調整できないので、鍋を振る合間に精密に火加減を調整するのは超難しい。というわけで、手鍋焙煎で再現性良くおいしく焼くのは困難で、日々味の変わるおふくろの味の様に、毎回少し異なる味を楽しむというのが正しい楽しみ方の様に思う。その分大失敗はしないのが、手鍋焙煎だ。特に、穴あきアルマイト鍋でやると、水抜きが容易なので、まず失敗しない。何回か焙煎して、8-9分程度で1ハゼが来る火加減が決まれば、あとは微調整なので、それほど難しくない。おすすめである。
特に、お掃除が楽だ。手網焙煎をやると、チャフが飛び散り、それがコンロの火で燃えて、かなりやばい状態になるが、手鍋では基本的にチャフが飛び出さないので、その心配がない。また、ガラスのフタだと、結露した水にチャフが貼りついて、あとで洗ってもなかなか落ちないし、フタの端の部分には煙がこびりついて落ちなくなる。しかし、アルマイトのフタなら、そもそも結露しないので、チャフがこびりつく事が無い。洗えばさっと流れて、簡単にきれいになる。後片付けを気に病まずに楽しめるのが非常に良い。

2022.5.31 追記 手鍋焙煎のポイントは、1ハゼ後の火加減

高級アルマイト鍋のフタの穴が足りない感じだったので、先日フタの穴を増やしてみたが、まだ少し足りない感じがする。もう少し検討して、結論に達したら写真を公開する予定だ。
さて、穴あきアルマイト鍋で焙煎を繰り返した結果、ようやく手鍋焙煎のキーポイントが見えてきた。一般には水抜き工程が重要と言われているが、手鍋焙煎ではうまい具合に蒸らされる感じなので、普通にやっていればいい感じに水が抜ける様だ。豆が黄色くなって少し香ばしい香りが出てきた段階でも、現在は火加減は変えていないが、ここからメイラード反応が始まるので、少し火加減を調整すると風味が変化するかもしれない。しかし重要なのは1ハゼ後だ。
まず、どこを1ハゼと定義するのかという問題がある。1発のハゼは不十分である。10発くらいハゼるまで待つと、そのあとはまあまあ連続的にハゼるようになってくる(豆にもよる。高級豆は一気に来るねー)。その辺が1ハゼのスタートとして、そこから1分くらいは火加減を変えない様にしている。1ハゼでは、最も激しく反応が起こっているはずなので、ここで火を弱めては十分な反応が起こらないからだ。しかし、このまま強い火力を続けると、明らかに火力が強すぎる。1ハゼで豆の状態が急激に変化しているので、そのまま高温の鍋肌に触れていると、すぐに焦げてしまう。そこで1ハゼ1分後くらいで、火力を一気に落とす。で、この時の火加減が重要だ。大型の焙煎機と異なり、アルマイトの鍋は熱容量が圧倒的に小さく、しかも熱伝導率も高いので、火を弱めればすぐに鍋の温度が下がる。豆の熱容量があり、それらはハゼながら反応熱を出すので、全体の温度はすぐには下がらないが、鍋肌の温度が下がるため、徐々に反応の激しさは収まってくる。その後1ハゼが終了し、2ハゼに向かって反応が続いていくが、この時豆の温度が下がらずに、うまい具合に反応が続くような火加減を見つけるのが一苦労だ。火が強すぎると、あっという間に2ハゼが来て、豆が焦げ、油まみれのコーヒーになる。まあ、そうなってもそれなりにおいしく飲めるのだが、深煎りの豆とそうでもない豆が混ざってしまう感じだ。また、火が強すぎると揮発性の香りが飛びやすい。逆に火が弱すぎると、いつまでたっても2ハゼが来ない感じになってしまう。まあそれでも飲めるのだが、当然ベストには遠い。1ハゼ開始から4-5分で2ハゼが来る程度の火力で加熱し続けるのが、一般の焙煎機によるレシピの様なので、それくらいの感じの火加減を探している。しかし、1ハゼ後のイベントは2ハゼまで明確でないため、1ハゼ後どの程度反応が進んでいるのかわかりにくい。穴あきアルマイト鍋では、穴から出てくる煙の感じで判断することになる。激しく出ていれば強すぎ。ほとんど出ていなければ弱すぎで、温泉の湯けむりくらいに出てくるような火加減で、時々蓋を開けて酸素(おそらく酸素が必要)を供給するのが良い感じだと思っている。まあ、また変わるかも知れないが。
2ハゼが来たら、そこからは豆の発熱がすごいので、火加減はとろ火まで落とす。2ハゼがはげしくなったら、あとは勝手に反応が進行するので、火は消してしまう。うまく調整できれば、Full Cityでも焙煎直後の豆は油だらけにはならないので、チャフはきれいに取り除ける。まあ、しばらくすれば油が出てくるが。
これらの火加減が調整できるようになると、Highローストの調整ができるようになる。一般にはHighローストが基準という事になっているようだ。私も高級な豆はHighローストあたりで楽しむ事が多い。安い豆は、風味のバランスが悪いので、焙煎の深さで好みの風味に近づく様に調整する。で、なぜか最近は深めの焙煎が好きだ。

2022.7.16 追記
その後ずいぶん焙煎したが、結局現在の穴の状態でだいたい良い感じだと結論した。ガラス蓋のダイソー鍋ではどうしてもうまく焙煎できなかった、サントスNo.2 (その他のブラジル産も)やマンデリンも、まったく失敗しないことが確認できた。もちろん、火加減によっておいしいことも、それほどでも無いこともあるが、「こりゃ飲めたものじゃない」という失敗は全くない。穴の大きさを少し大きめにしてしまったので、ナチュラルの豆だとかなりチャフが飛び出してしまうが、気になる人は穴を小さくすることをお勧めする。その分、数が増えるので、穴を開けるのが面倒になるが。私は小型のボール盤を使って穴を開けたが、ハンドドリルでも問題無いと思われる。蓋のつまみを使って、ステンレスの針金を固定して、それを押さえることで、鍋を振った際に蓋が開かないようにしている。毎回分解して洗浄しているが、アルマイト処理は多孔質なので、豆の煙や油がしみ込んでしまうので、内側はもう真っ黒になっている。テフロン鍋だとここまでひどくないので、気になる人はテフロン鍋にアルマイトの蓋を組み合わせると良いかも知れない。私は、テフロンの分解物が気に入らないので、真っ黒のアルマイトで良いと思っている。唯一気に入らないのは、鍋の底の形状で、豆を攪拌するのにあまり適していない。どこかでもっといい鍋を探したいと思っている。
Gran-nabe2.jpg

この記事はこれで終了

2022.8.8 追記
終了と上に書いたのだが、どうも最近コーヒーがおいしく無い。で、やはりこの鍋がだめなんだと気がついた。大きな失敗はしないのだが、おいしいコーヒーにならない。で、ガラスの蓋付きのステンレス鍋で焼いてみたら、その方がずっとおいしい。マンデリンもおいしい。穴あきアルマイト蓋は、水分が抜けすぎるようだ。ようやく、何が肝心なのかわかりかけて来たので、後日修正版をアップする予定。

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