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なぜ油圧ディスクブレーキが良いのか? [日常]

ロードバイクにディスクブレーキが採用されるようになり、なぜディスクブレーキが良いのか等を書いたブログを目にする事が多くなった。私のDefyは機械式のSpyreなので、油圧にしたいという希望があり、いろいろ調べたりしたが、多くの人が何か勘違いしている様で、ピントのずれたコメントが多く、何とももやもやする事が多い。やれ、アルキメデスの原理がとか、まことしやかに書かれているが、本質はそこではない。

油圧ディスクのメリットは、唯一、軽く握ってブレーキが効くことにつきる。これを実現するのがアルキメデスの原理だなどと説明する輩がいるが、それは誤りである。機械式でもテコの原理を使えば、同等の軽さで効く様な機構を作る事は可能である。しかし、実用レベルではそれは不可能である。それは、パッドが減るからに他ならない。油圧式のディスクブレーキでは、基本的にピストンは油圧で押されるのみで、元の位置に戻す機構になっていない。わずかなクリアランスを保つのみである。パッドが減れば、その分ピストンが押し出された位置で待機するようになっている。これを可能にするのが油圧である。液体で力を伝えるため、ブレーキレバーとピストンの間は機械的に固定されておらず、パッドの減りをリザーバーからオイルを補充して液量を増やす事で補填する事ができるのである。この機構によって、ローターとパッドのクリアランスを非常に小さく保つ事が可能になる。クリアランスが小さいので、パッドの移動量は常にわずかで済むことになり、倍力の係数を大きくしてもブレーキをかけることができる様になるのである。一方、機械式では、ピストンとブレーキレバーの間の長さはワイヤーで固定されているため、パッドはローターに押しつけられた後、ブレーキレバーを離せば、元の位置に戻ってしまう。したがって、パッドが減ると、クリアランスがどんどん大きくなってしまう。油圧と同等の倍力比にすると、頻繁にローターとパッドのクリアランス調整が必要になってしまって、実用的でないと言う事になるわけである。
ワイヤー引きの油圧ディスクというのがあるが、結局このクリアランス調整機構がどうなっているかで決まることになる。最近、オイルが密閉式のブレーキがあるようだが、それではクリアランスの自動調整が不可能で、ワイヤー引きのブレーキに比べて軽くなる可能性は低いと思われる。リザーバーを備えて、クリアランスを一定に保てる機構が付いていない限り、引きを軽くすることができない。無理に軽くすれば、頻繁にクリアランス調整が必要になってしまう。
また、油圧は制動力が高いという表現も良く出てくるが、これも誤りである。軽く引けるのは事実だが、絶対的な制動力は、ローターとパッドとタイヤで決まっており、ワイヤー引きでも油圧でも、これらが同じなら、本質的に制動力に差は無い。後は、フィーリングの違いだろう。その点、油圧には大きなアドバンテージがある。軽く引けるので、制御が楽である。

キャリパーに比べたディスクブレーキの利点は、まさにローターの存在だろう。ローターは、ホイールの機能とは無関係に、ブレーキのためだけに存在するので、平面度が高く、油圧ブレーキのわずかなクリアランスを維持可能である。リムのぶれは1mm程度あるのが普通なので、キャリパーを油圧化しても、上記の理由でそのメリットを甘受することができない。ワイヤー引きのディスクブレーキでも、クリアランスは0.5mm程度なので、リムのぶれよりはずっと小さくできる事になり、その分倍力係数を大きく取ることができる。しかし、ローターの直径はリムよりもずっと小さいので、引きの軽さはキャリパーに比べてそれほど有利にはならない。結局、ワイヤー引きディスクでは、良く言われる悪天候の際のブレーキの安定性くらいしか利点は無さそうである。私は雨の日には乗らないので、予期せぬ通り雨以外では恩恵が無い。2017モデルのGIANTのロードバイクには、ワイヤー引き油圧ディスクがあるが、あれは途中に変換するリザーバーがあるようなので、具合が良さそうである。しかし、ちょっと重量増加が気になるところだろう。私は気にしないが。スペース的に制限のあるSTIにリザーバーを組み込んで、高額で不格好で、整備しにくくするより、現実的な気もする。

歳をとると握力も衰えてくるので、そのうちSpyreを油圧にしたいなあと思うが、いっそキャリパーブレーキのロードバイクを買い直した方が良いかとも悩むところだ。いや、買い足しか。


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