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手鍋焙煎のこつ [日常]

手鍋焙煎を始めて、もう3年になる。進歩がないと言えばそうなのだが、さすがに少しはましになったので、こつを書いてみたい。

1.鍋はアルミ鍋
ステンレスは基本的にNGだ。意外にもおいしく焼けた時も何度かあるのだが、やはりアルミが望ましい。焙煎機はドラム型でクルクル回して全体を加熱するのだから、温度の均一性が重要なのは間違いない。鍋は回せないので、熱伝導の良い素材でなるべく鍋全体が均一な温度になるようにする必要がある。ステンレスでは、底だけが熱くなり、うまく行かない。アルミなら何でもOKだと思う。最近、フッ素樹脂関係が問題視されているので、アルマイト鍋が良いかも知れない。

2.フタはアルミ(穴開き)
ガラスのフタを使っている人が多いと思うが、できればフタはアルミが良いと思う。ガラスのフタは重く、熱容量が大きくなるため、なかなか温度が上がらない。そのため、フタに水分が結露して鍋の中の湿気が抜けにくい。また、出てきた蒸気やガスは速やかに追い出したいので、アルミのフタに穴をあけておくのが良いと思う。

3.火加減は中火?
一般に、1ハゼ8分などと言われるが、その根拠を示した例はほとんどない。曰く、のんびりしていると揮発性の風味が飛ぶとかいうのだが、これも確認した例はなかなか見つからない。商売で焙煎する場合は、焙煎時間は非常に大きなファクターになる。短時間で焙煎しなければ、コストアップにつながるからだ。しかし、自分で焙煎する場合には、コスパはあまり関係ない。では、何に注意するかというと、150℃以上の温度上昇率だと感じている。逆に言えば、150℃以下の温度管理はそれほど重要じゃないというか、なるべくゆっくりが良いと思う。
さて、150℃付近で、いったん温度上昇が鈍る。このあたりから、豆の内部で化学反応が始まり、それと同時に豆の水分が抜け始めるので、気化熱のために温度が上がらなくなるのだと思っている。150℃から1ハゼまでが豆の水分を抜くプロセスで、ここは急ぎすぎないのが良いとされている。1ハゼといっても、始まりから終わりまで2分半程度かかる事が多く、その間にも温度は上がっている。ここの温度管理がおそらく一番重要になる。RORと呼ばれる温度上昇率が、1ハゼ前後で小さい(温度上昇がゆっくり)だと風味の抜けたコーヒーになると言われる(ベイクト)。この理由を解説したものはほとんどないが、どこかのブログで、豆の内部の温度差の議論をしているのを見て、なるほどと思った。
コーヒーの風味の成分は、生豆の成分とは大きく異なっており、生豆の成分が温度上昇とともに刻々変化して、最終プロダクツがコーヒーになる。この反応が一つの豆の中で生じているわけだ。豆の温度が均一になってしまうと、化学反応も単調になり、生成物も単純なものになってしまいそうな気がする。豆の内部に温度差があると、場所により化学反応や生成物が異なることになり、それらがうまく機能した場合、複雑で好ましい風味になるのではないかと考えている。豆の内部に温度差を生じさせる手法がRORをある程度大きく保つことだと思われる。これが重要になるのは、メインの反応が生じる1ハゼ近傍で、それ以外の温度でのRORは風味形成にはあまり影響しないのだと思われる。したがって、火加減は1ハゼ前後のRORがいい感じなる火加減に最初から合わせ、あまりいじらないのが正解だ。鍋を振るのに忙しいので、そんなにタイミングよく火加減を正確に調整できないからだ。この火加減はそんなに強くないので、最初からこの火加減だと、1ハゼ8分は到底無理で、10分近くかかる事になるが、問題ではないと思っている。

4.深煎りなら豆は洗う
Highローストまでは良くてもCityで雑味発生というのをずいぶん長いこと繰り返してきたが、やはりチャフが悪さをしていることを確信した。焙煎機ではチャフは途中で吐き出されるので、問題にならないが、手鍋焙煎では最後まで鍋に残るので大きな影響を与える。一般に、1ハゼ付近でチャフが豆からはがれるとされる。その後、チャフは豆と一緒に焦げていく。薄皮のチャフだけならそんなに問題はないのだが、チャフには果実の残りかすが多少の差はあっても付着しているのだ。これが、場合によってはひどい雑味を生成することになる。事前に水洗いして、チャフに付着した果実の残渣や汚れを除去しておけば、この影響を最小化できるというわけだ。これで満足できなければ、焙煎機を使うしかない。
こう考えると、豆をお湯で洗うというのは、その目的が今一つ明確でないように思う。豆に水分が染み込んだり、豆から水溶性の成分が溶け出したりしないように、低温の水で素早く洗って乾かすのが良いと思われる。水切りにはサラダスピナーはなかなか強力だった。
さて、手網か手鍋かという選択肢があるが、私は手鍋派だ。大体において手鍋の方が合理的だが、唯一このチャフの除去という点で、手網が優れている。周りに飛び散るという問題はあるものの、途中でチャフは飛び出していくので、深煎りする場合には都合が良い。実際、手網焙煎の愛好家は深煎りが好みの人が多いように感じる。手鍋であれば仕方がない、豆を洗おう。


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