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鍋の穴を増やして手鍋で深煎りを可能に [日常]

最初にコーヒーの手網焙煎で失敗してから、手鍋焙煎に変更してもう2年以上経つ。Highローストくらいまでは良い感じに焙煎できるようになったのだが、深煎りになると、どうしても最悪の風味になってしまう。やはり手鍋ではだめなのではないかと、久しぶりに手網で焙煎したところ、簡単においしいコーヒーができた。焙煎を始めた当初はダメダメだったのだが、さすが、2年以上の経験は無駄では無かったようだ。(まあ、上手な人なら最初から手網で上手に焙煎できるのだろう。)それなら、今後は手網で焙煎すればいいじゃないという話なのだが、ちょっと待て、さて手鍋の何がだめなのか?という話だ。
手網と手鍋は、結構コーヒー豆の環境が異なり、比較は単純ではない。しかし、これを単純化するのが、私の本職である。手鍋では、チャフの残留という大きな問題があるが、それはおそらく本質ではないと結論した。だとすれば、大きな違いは酸素だ。
焙煎家の中には、手鍋では煙が十分排出されないのでいぶり臭が残って深煎りに適さないという方がいらっしゃるようだが、例えばガラス蓋を開けずに焙煎すると、そもそも煙がそれほど発生しない。煙が出るのは、蓋を開けた時だ。以前は、煙が出ないのは良い事だと思っていたのだが、どうもそれが大きな間違いで、酸素を十分に供給して、盛大に煙を出し、それを排気してはき出させる事が重要な様だ。この煙もくもくの過程で、コーヒーらしい風味の形成が起こるものと思われる。手網焙煎では、発生した煙はたちどころに換気扇に吸い込まれ、焙煎終了時にもくもくと煙が出ることも無い。チャフも途中で全部まき散らされるので、最後には良い感じのコーヒー豆が網の中に残るだけだ。この状況に近いものを手鍋で実現すれば、手鍋でもおいしく焙煎できるに違いない。
手鍋にこだわるのには、理由がある。楽なのだ。手網焙煎では、網は単にコーヒー豆をガスコンロの上の空間に束縛しているだけで、焙煎に関して何か貢献があるわけではない。つまり、コーヒー豆を良い感じに焙煎するには、網を振り続けて、豆の位置を良い感じにコントロールし続ける忍耐力が必要になる。腕、パンパンである。手鍋焙煎では、アルミ鍋が温度を均一に維持してくれるので、振る回数は少なくなり、五徳の上に置いて休むことができる。加熱の状況も一定で、再現性が良く、掃除もやや楽になるのだ。コーヒー焙煎は、エンドレスに毎週繰り返すので、この楽さは重要なファクターになる。
ご託を並べたが、要は、手鍋を穴だらけにして風通しを良くすれば、手網と手鍋の良いとこどりの焙煎鍋ができるはずだという話だ。で、実際に穴を増やした。蓋の穴を増やすだけでは、こもった煙を吐き出せないので、鍋の底にも穴を開けた。本当は側面に開けたかったのだが、穴を開けるのが大変なので、手っ取り早く底に穴を開けたわけだ。
で、結果は上々だ。深煎りのマンデリンがマンデリンらしい風味に仕上がった。初めての快挙だ。
ここまで来て、焙煎家の方が言う、「カロリーを入れろ」の意味が少しわかった気がする。
tenabe-202304.jpg
上面:穴を増やした
tenabe-202304-2.jpg
底面:穴を開けた。もうラーメンは作れない。
鍋の真ん中には炎が来ないので、焙煎上問題は無い。
空気がすっきり抜けるようになり、クリーンな味わいのコーヒーになった。均一性、再現性も問題ない。

2023.5.15 追記
鍋底に穴を開けるのはどうもやりすぎの様だ。確かにすっきりした風味になったのは良かったのだが、すっきりしすぎで、コクが無い。香りはまあまあ良いのだが。穴が少ないと、水分の抜けが悪く失敗焙煎につながる。穴が多いと失敗しにくくなり、風味もすっきりするが、多すぎると風味が薄くなってしまう。ちょうどいい加減に空気を流すことで、良い雰囲気の風味に落ち着くような感じだ。おそらくは、豆の微細孔の中の反応性の成分が良い具合に酸化するのが良いのだろう。酸化しすぎると、スカスカになって抽出されるコーヒーらしいうまみ成分が無くなってしまう。酸化が足りないとちょっとしつこい味になり、香りも少しスポイルされるのではないだろうか。深煎りではこの残留成分が致命的になってしまうが、浅煎りではコクになり丁度良い感じか。で、いくつか試した結果、やや浅煎りの好きな私は、鍋の底の穴はあけずに、蓋の穴だけ多めにするのがちょうど良いようだ。この条件で深煎りまでいけるのか、これから試してみたい。

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